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Research & Development

開発ストーリー

EXポリリン酸®の誕生。
その発端は、四半世紀以上前の大学研究室にさかのぼります。
たゆみない研究活動の果てに製品化を成し遂げた軌跡をぜひご覧ください。

Story 1

1

世界で誰も成し遂げていない研究を。

DNAの権威、アーサー・コーンバーグ教授の挑戦

リジェンティス株式会社の代表取締役である柴肇一は、大阪大学大学院医学研究科で博士号を取得後、北海道大学で分子生物学の教育研究を行う科学者でした。
1993年、「DNA複製」の研究でノーベル賞を受賞した世界的権威のアーサー・コーンバーグ教授が、新たな研究テーマとして「ポリリン酸」に取り組むという一報に触れ、アメリカのスタンフォード大学にある研究室に博士研究員として赴任しました。

当時は、「ポリリン酸」という物質について研究をする学者は世界でもわずかでした。
大腸菌の中に存在することまでは確認ができていたものの、人間の体内に存在するのかも、ポリリン酸がどのような働きをする物質なのかも、まったく未知の状態でした。しかし、自分自身も知らなかったような生体分子で、ほぼ誰も解明できていない未知の素材というテーマに強く惹かれました。
いつの日か、ポリリン酸の存在を人体で確認し、その働きを解明して世界中の人の役に立てたい。その思いに強く突き動かされていました。

測定法さえ解らない「謎の物質」

「ポリリン酸」という物質はあまりにも単純な分子構造でできているため、検査機器に入れれば数値が出るというものではありません。当時はポリリン酸の測定法が確立されておらず、分析に必要な研究データや論文も不足していました。従って、検出方法を考案することから、地道な挑戦が続きました。
ポリリン酸そのものを検出することは難しいため、ポリリン酸を別の物質に化学変化させ、それを色や光で検出するという基本的な方法が確立されたのは、研究に着手してから数年後のことでした。
人体にポリリン酸の存在を確認できたことで、いよいよ人間をはじめとした高等動物における生体内ポリリン酸の研究をスタートできる段階になりました。

Story 2

2

再生医療の研究で、ベンチャー起業へ。

長さによって働きが変わるポリリン酸

人体におけるポリリン酸の働きを解明する研究が始まりました。
帰国して北海道大学に戻り、基礎研究に明け暮れる中で、ポリリン酸は「細胞の成長因子」に結合することでその細胞の機能を増強するという働きが明らかになりました。
これは、「再生医療」分野に活用ができる画期的な発見でした。
2004年、北海道大学発ベンチャーを起業し、大学と提携して創薬の共同開発を始めることになります。

ところで、ポリリン酸という物質自体は、工業分野で古くから用いられていました。主に、食品添加物や不燃性材料といった用途です。しかし、工業製品で使われるポリリン酸と、人体に含まれるポリリン酸は、少し別物であることが研究の中で解明されました。
ポリリン酸は、リン酸分子が鎖のようにつながって生成されるのですが、鎖でつながる数によって「長さ」が変わります。そして、その長さによって「働きが変わる」という不思議な現象を発見しました。
工業用途のポリリン酸は鎖の「短い」ものが主でしたが、人体内部のポリリン酸は比較的鎖の「長い」ものでした。つまり、医療分野など人体に役立つポリリン酸を生成するには、「長い」ポリリン酸をつくり、その長さをより正確に揃えておく必要があります。

ポリリン酸の長さを分割する研究

そこで、ポリリン酸を「分割」する方法の試行錯誤を始めました。
ポリリン酸を製品として普及させるには、コストを抑えて大量に製造する条件も満たさなくてはなりません。
探究の末、長い鎖と短い鎖を分離させるためにエタノールを用いるという意外な方法を発明しました。驚くほど単純な製造法ですが、むしろ単純すぎて誰も思いつかなかった発想でした。
ここに、鎖の長さを整えた「EXポリリン酸®(分割ポリリン酸®)」が誕生しました。

Story 3

3

再生医療研究の蓄積で、ホワイトニング製品に挑む。

EXポリリン酸®で歯周病に挑む

大学と共同で進めていた創薬開発は、骨再生から歯周組織再生の分野に応用を広げました。
歯周病は長年の国民病で、未だに有効な治療薬がつくられていません。もし、歯茎や歯周ポケット内に塗るだけで歯周病を治せるような薬を開発できれば、簡単に誰でも使えて人類に貢献できるのではないか。その思いに駆られて、研究に没頭しました。
さまざまな治験により、顕著な効果を確認できるまで開発は進んだものの、医薬品としての承認を得るにはまだまだ膨大な費用と時間が必要です。しかし、ここまで積み上げた長年の研究成果を、どうにか世の中のために役立てることはできないかと考えました。

ホワイトニングに有効なポリリン酸の長さ

そこで注目したのが医薬部外品でした。
EXポリリン酸®を医薬部外品のオーラルケア製品に応用できれば、より多くの方々にすぐに使ってもらうことができます。これまでの再生医療研究の蓄積も、より身近に実感してもらうことができます。

やがて研究を進めると、ある特定の長さのポリリン酸が、歯の表面のホワイトニング効果が高いことを発見しました。ポリリン酸は歯の表面のアパタイトと結合する働きがあるため、歯をコーティングすることで新たな汚れをつきにくくする効果も見込めます。
これは歯周病予防とともに歯のホワイトニング対策として、多くの方々に喜ばれる製品に育つに違いないと思い立ちました。

ポリリン酸を歯みがき剤の有効成分として使用するメーカーはこれまでにもありましたが、「分割された長さ」によって働きが変わるポリリン酸は、「長さ」ごとに精密に最適化して用いなくては効果が限定的になります。その長さをコントロールできる技術を持つのは、ポリリン酸研究のパイオニアであるリジェンティスだけです。

こうして、まったく新しい「ホワイトニング製品」が完成しました。
長年にわたるEXポリリン酸®の基礎研究が、ついに「製品」という形で成果を結びました。
2007年からテレビ通販番組などで販売をはじめると、徐々にクチコミでご評価をいただき、おかげさまで多くの方々にご愛用いただける製品に育ちました。

Story 4

4

世界の研究者と新たな可能性を求めて。

世界で研究が加速しはじめたEXポリリン酸®

世界的権威のアーサー・コーンバーグ教授が、その輝かしいキャリアの最後に追い求めたポリリン酸の研究は、教授の遺志を継ぎ、今こうして実を結びつつあります。
しかし、ポリリン酸の可能性はまだまだ計り知れません。
近年、ようやくポリリン酸の国際研究学会が立ち上がり、世界中の学者が研究活動を進める土壌が整ったばかりです。

リジェンティスは「EXポリリン酸®」を製造する唯一の企業として、研究を進める世界中の大学や研究機関に無償で素材を提供し、EXポリリン酸®のさらなる機能究明に向けた研究をお手伝いしています。

EXポリリン酸®のリーディングカンパニーとして

EXポリリン酸®は、長さによって働きが変わるユニークな物質です。
その長さを適切に制御して働きを応用することで、既存のオーラルケア、ヘアケア、スキンケアなどの分野で一線を画す製品を生み出せると確信しています。
また、ポリリン酸をサプリメントとして応用することで健康増進に効果が期待できる可能性もあります。

今後はさらにEXポリリン酸®を応用したセルフメディケーションの分野を拡大させるべく研究開発に取り組んでいく予定です。
リジェンティスはEXポリリン酸®のリーディングカンパニーとして、ヘルスサイエンスの分野で新たな領域を切り拓き、世界の人々の健康維持に貢献していきたいと考えています。

EXポリリン酸®に関する代表的な論文・書籍

Articles

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  2. LC. Wijeyewickrema, E. Lameignere, RC. Duncan, T. Shiba, RJ. Travers, PR. Kapopara, VL. Stephanie, H. Kim, JH. Morrissey, RN. Pike, EM. Conway, Polyphosphate is a novel cofactor for regulation of complement by a serpin, C1 inhibitor., Blood, 128, 1766-1776 (2016).
  3. PR. Angelova, BK. Agrawalla, PA. Elustondo, J. Gordon, T. Shiba, AY. Abramov, YT. Chang, EV. Pavlov, In situ investigation of mammalian inorganic polyphosphate localization using novel selective fluorescent probes JC-D7 and JC-D8., ACS Chem. Biol., 9, 2101-2110 (2014).
  4. K. Doi, T. Kubo, R. Takeshita, S. Kajihara, S. Kato, Y. Kawazoe, T. Shiba, Y. Akagawa, Inorganic polyphosphate adsorbed onto hydroxyapatite for guided bone regeneration: An animal study., Dent. Mater. J., 33, 179-186 (2014).
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  7. K. Harada, H. Itoh, Y. Kawazoe, S. Miyazaki, K. Doi, T. Kubo, Y. Akagawa, T. Shiba, Polyphosphate-mediated inhibition of tartrate-resistant acid phosphatase and suppression of bone resorption of osteoclasts., PLOS ONE, 8, issue 11, e78612 (2013).
  8. K. Harada, T. Shiba, K. Doi, K. Morita, T. Kubo, Y. Makihara, A. Piattelli, Y. Akagawa, Inorganic polyphosphate suppreses lipopolysaccharide-induced inducible nitric oxide synthase (iNOS) expression in macrophages., PLOS ONE, 8, issue 9, e74650 (2013).
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